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前回簡易なモデルで運動方程式を考えましたが、やはり初速が100m/sを超えているのは現実離れしていましたので、考え直したいと思います。
AEGでは圧縮された空気は全て密閉されているわけではなく、ノズルは高速で前後するため隙間はスカスカだし、バレルと弾も隙間があります。そこで前回のモデルに加え、空気の漏れを考慮した運動方程式を考えようと思います。
しかしどれだけ漏れているのか実測は簡単ではありませんので弾速度がPDWノーマルで弾の初速が大体85m/s近辺になるように空気の漏れ量を決めました。
他に考えられることは、シリンダからの空気がバレル内に流れるには内径が急減しますので流れに抵抗ができます。しかしこの抵抗はテーパーシリンダヘッドにすればかなり減るはずですが、テーパーシリンダヘッドに変えることによって初速が明らかに上がったという話は聞いたことが無いので、もともとそれほど抵抗は無いと考えても差し支えないのではないかと思います。

小さな隙間から逃げる単位時間の空気量は隙間を挟む空気の圧力差で決まります。この場合外側は大気圧ですので内圧に比例します。
簡単に言うと高い圧力でも非常に短時間なら空気は漏れないのです。小さな穴の開いた紙風船をポンポンたたいてもペシャンコになりませんよね。これも短時間の圧力ですので空気はほとんど外へ逃げません。
したがって粘性体の力学方程式を使います。
空気漏れ量の式

空気漏れがありますので、圧力の式も前回と変わります。

ピストンの運動方程式(変更なし)

弾の運動方程式(変更なし)

初期値は前回にqを加えます。

前回同様PDWで弾質量m2=0.2[g]の場合とします。

このグラフから動き出したピストンはシリンダ穴を越えるまでぐんぐん加速し7.2msで穴を通過し、シリンダ内圧を高めていきます。7.6msでHopパッキン通過力を超え、弾は加速して行きますがまだまだ圧力も上がって行きます。9.5msでピストンは前進端まで達し、圧力もここで最高点に達します。
ここまでの時間は前回とほとんど変わりません。しかし空気漏れがあるため圧力は前回よりも下がっています。
この時点の弾の移動も前回よりも少なくわずか3cm動いただけです。あとはバレルから11msで飛び出して行きます。

次にピストンと弾の速度について見てみます。

最終的に弾速度は83m/sでバレルから飛び出して行きます。

この計算結果は前回計算したピストン前進端に達する瞬間のピストン運動エネルギーよりも大きいのであまり効率が良いとは思えません

空気の漏れを考慮して求めた弾速度からピストン質量の±2gシリンダ穴位置の±2mmの範囲で弾速度の標準偏差を差し引いた結果です。

その結果最適な条件はピストン質量はノーマルと同じでシリンダ穴位置は6mm後退側になりました。つまり空気の漏れがある分シリンダ容量は増やさなくては最適な条件にならないという結果です。 その時の弾速度はノーマルと10m/sほどの違いが出るので大きな違いがあります。

これは試す価値ありだと思います。穴の開いていないシリンダを入手して、最適な位置に穴を開けた結果どうなったかぜひ実験してみたいと思います。
2004/3/8